修繕積立金は、建物の大規模修繕に使うために管理費とは別に積み立てます。毎月の集金は管理費と合わせていても、勘定は別(決算書は管理費と別)にしていることが一般的です。旧住宅金融公庫が実施した「マンション共用部分リフォーム利用者調査(平成16年度)」によると、1団地あたりの平均総工事費は4,926万円(1戸あたりでは79万1千円)という結果になっています。
新築の時の修繕計画のままではいけません。
平成7年以降の公庫融資付きマンションには、新築当初毎月の修繕積立金は6,000円以上(注1)という基準がありました。これらは平成6年当時の標準的なマンションをモデルケースとして約30年間の修繕計画と必要となる金額をシミュレーションしたものですので、どんなマンションでもこの金額であれば大規模修繕工事の費用として足りると断言できるものではありません。当時から10年以上経過した現在水準では、70戸9階建ての場合は、約13,000円と倍増しています。(平成17年12月現在)
注1)修繕積立基金を集めている場合は、10年分の修繕積立金として割り戻して加算しても可。
修繕工事計画の立案に際して「長期修繕計画」と「積立金の徴収計画」について考える必要があります。これらについては分譲開始時に25年または30年間の長期修繕計画が分譲会社から提示され、その後管理会社との管理委託契約書の中で「5年ごとの長期修繕計画の見直し」が委託業務として位置付けられているはずです。したがって、まずは管理会社のアドバイスが必要ですが、その際には「大規模修繕の設計から工事・完成まで」のコンサルタント技能を有するかを見極める必要があります。
管理会社と協力することで高水準の技術を維持します。
大規模修繕工事に際して、コンサルタント技能を有する管理会社というのは、特に施工に関する品質に関してもこだわりがある会社がお奨めです。雨漏りに直結する防水工事に関しても、メーカーとの連携により施工品質の向上と標準化を目指している管理会社もあります。
修繕計画を見直してみましょう
診断項目が多いから安心
建物の劣化具合を測る各種試験を実施。数値化、ビジュアル化することで傷み具合を一目で確認できるようにしています。
鉄筋コンクリート造の場合、コンクリートのアルカリ分が低下すると鉄筋の発錆を招き、躯体の劣化につながります。コンクリートのアルカリ低下度合を確認するための試験です。
鉄筋コンクリート造の場合、コンクリートの状態を把握することが重要。中性化の進行や塩化物の浸透などといった劣化度を確認するための試験です。
いくら新規塗膜がしっかりしていても既存塗膜から剥れてしまっては元もこもありません。下地コンクリートに対する既存塗膜の接着力を確認するための試験です。
豊富な経験により培われた診断ノウハウは、目視診断や指触診断によってもある程度の劣化状況を推定することができます。
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目視だけでは判断のつきにくい伸び性や引っ張り強度等を確認する試験です。
特にシーリング材において、現場で採取したサンプルの赤外分光光度計(FTIR)による吸収ピークと既知のシーリング材とのそれとを比較することで材質を判定する試験です。